活性酸素とはいったいなに?
健康に関する雑誌や本をみていると良く「活性酸素」と言う言葉をみかけます。
私たちは呼吸によって空気中から酸素を取り入れているので、生命にはかかせない安全な気体だと思いがちですが、実はちょっとしたキッカケで「活性酸素」という不安定な物質に変身します。
この「活性酸素」、簡単に言ってしまうと、酸素の電子が不足して原子構造が不安定になり他の物質から電子を奪おうとするアブナイ状態なんです。
酸素の状態
酸素には、ふつうの酸素と活性酸素の2種類があります。
ふつうの酸素
通常大気中に存在する酸素の状態です。
原子2個からなる、一般的に存在する酸素。両側の不対電子どうしがペアを作っているので比較的安定している。 |
活性酸素
外部からエネルギーが加わると活性酸素になります。
片方だけが不対電子になった状態のもっともポピュラーな活性酸素 | 紫外線によって皮下組織に発生しやすい活性酸素。片側の電子が一方の起動に入り込み、もう一方の起動は空白になっている状態。従って反応性も強い。 | 酸素原子と水素原子がともに2個ずつ付いた状態。酸化力は大きくないが、ちょっとしたきっかけで反応性に富んだヒドキシルラジカルに変化する。 | もっも反応性に富んだ活性酸素、過酸化水素が金属イオンと反応した時などにできる酸素原子1個と水素原子1個からなる。 |
活性酸素は生命維持のほか、体内に侵入してきた細菌の電子を奪って細菌を死滅したり、古くなった細胞を死滅させるなど有用な機能がありますが、
体内に多く有りすぎると正常な細胞の電子も奪い壊してしまったり、DNAをキズつけてしまったりするなど様々な病気を誘発するなど、良い面と悪い面があります。
私達は包丁がサビてしまった状態を「酸化」したと言いますが、この状態は活性酸素が鉄から電子をうばった状態です。
これに対して、電子を与えてサビがなくなった状態を「還元」したと言います。
ほどよい「活性酸素」が体内にあれば良いのですが、現代社会では様々な原因で体内での活性酸素が増えすぎてしまっている状態です。
活性酸素が増える原因
現代社会では普通の生活をしていても食品添加物や大気汚染、ストレスなどで、体内に過剰の活性酸素が生まれてしなう事が問題のなのです
日持ちのする食品
食品を早く、安く、提供する為の加工技術はたくさんの食品添加物を生み出しました。
合成香料として使用されている食品添加物「イソチオシアン酸アリル」という青酸化合物
酸化防止剤としてつかわれている添加物としてのビタミンCなど、人口的に作り出された食品添加物には多くの活性酸素を誘発する化学物質が含まれています。
車の排気ガス
、自動車の排ガスに含まれる有害物質では、呼吸を通じて排ガス中の窒素酸化物(NOx)が体内に入ると、脂肪を酸化して過酸化脂質を作り出し、組織や細胞の老化、さまざまな病気の誘発につながることが分かってきました。
空気中に含まれる活性酸素を誘発する物質は排気ガスだけではありません。
たばこの煙には200種類もの有害物質が含まれています。
たばこの煙を吸い込むと、肺に侵入した有害物質を取り除くために白血球が大量の活性酸素を発生したり、タバコに含まれる過酸化水素は活性酸素そのもので、肺に大きなダメージを与えてしまいます。
また、健康を害すのは本人だけでなく、たばこの副流煙を吸った周囲の人にも影響が及んでしまいます。
活性酸素による病気の誘因
病気になる原因はいろいろありますが、活性酸素は病気の誘因を誘う原因の一つでかなりの多くの事が分かってきました。
活性酸素による体への障害はまだまだ研究段階ですが次のような症例、報告があります。
動脈硬化や血栓を作りやすい体質にする
脂質が活性酸素(特に、ヒドロキシルラジカル)により酸化変性され、過酸化脂質が生じます。
過酸化脂質は細胞膜機能を変化したり、細胞に障害をきたします。また、他の蛋白も酸化します。
脂質は、血液中ではLDLなどのリポ蛋白として運搬されますが、過酸化脂質が増加した酸化LDLは、血管内皮細胞に障害をきたし、動脈硬化を来たしたり、血栓を作りやすい体質になります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞が発症する可能性が高まります。
癌の誘発
すべての活性酸素は、核酸を障害します。
細胞は活性酸素により核酸を障害し、DNAが酸化されると癌化したり、細胞死に陥ります。
DNAが酸化されると、正しい遺伝子情報にキズがつくので、細胞分裂の暴発を誘因する可能性が高まります。
この狂った細胞分裂の暴発が癌となります。
寿命の短縮
活性酸素は、細胞分裂による染色体末端を保護が弱くなり、細胞の分裂回数を減らしてしまいます。
細胞分裂ができる回数が減ってしまうと言うことは、寿命が短くなり、老化が早まってしまいます。
老人性白内障
白内障は目の中のレンズに当たる水晶体が白く濁る病気です。
水晶体はクリスタリンというたんぱく質とヒアルロン酸というアミノ酸と糖の結合体で、弾力性に富んで柔らかく、透明性を保っています。
糖尿病などで、高血糖状態が続くと、ミトコンドリアの電子伝達系を介して、活性酸素が多く産生されます。
活性酸素水により水晶体のたんぱく質が酸化することにより、透明なはずの水晶体に濁りが生じてくると老人性白内障になる可能性が高くなります。
皮膚のシミ
細胞内の小器官であるリソソームの膜の不飽和脂肪酸が、活性酸素で酸化されると過酸化脂質生じます。
過酸化脂質生が、不溶性色素として蓄積すると、シミになります。
アルツハイマー病
脳の生理的活動の中で作られるアミロイド・β(β蛋白)が、2つ以上結合すると活性酸素を産生して、脳神経細胞を殺してしまう事がわかってきました。
結合したアミロイドβが神経細胞の周りに集まり、活性酸素により細胞内の微小管を形成するタンパク質タウがはがれ、凝集を始めます。
こうなると神経細胞は死んでしまい、アルツハイマー超の発症につながると考えられています。
腎障害
腎臓病では、活性酸素が腎炎やネフローゼ症候群での糸球体の障害、薬物性腎障害、急性腎不全の発症などに関与している事が明らかになりました
。また、腎不全者や人工透析を受けている人は、体内での『活性酸素』産生量が腎機能正常者の約2倍位に増えていることが究明されています。
還元水と活性酸素
私たちの体には、活性酸素の酸化力に抵抗する酸化還元酵素の「SOD(スーパーオキサイドジスムターゼ)」があります。
また、テレビのCMでもよく紹介されている「コエンザイムQ10」なども、酸化還元酵素の1つです。
しかし、現代人の生活は、ストレスや疲れ、タバコ、お酒、食生活の乱れなどによる活性酸素が増加させる要因がたくさんあり、20歳前後を境に酸化力に抵抗する力も弱くなっていきます。
還元水は、通常の水素より電子を1個多く含んだ活性水素
活性水素は電子が不足して原子構造が不安定になった活性酸素に電子を供給する(還元する)ことで安全に、体外に排出されるのではないかと考えられ、大学などで研究されています。